
なぜ挑戦は、途中で止まってしまうのか。
Ezofrogsで見つけた“継続”への視点
山本 温広
Atsuhiro Yamamoto
市立札幌開成中等教育学校 4年生(2025年当時)
愛称:あつひろ
出身地:札幌
テーマ:継続できない自分自身の課題と向き合い、集中サポートアプリ「co-mit(コミット)の開発に挑戦。
「やりたいことはあるのに、なぜ続かないのだろう。」
そんな問いから、山本温広さんの挑戦は始まりました。
いろいろなことに興味を持ち、やってみようとはする。
でも、一つのことに集中し続けるのが難しい。
気づけば途中で止まってしまい、自己嫌悪に陥る。
そんな自分自身への違和感が、山本さんの中にはずっとあったそうです。
その問いと本気で向き合うために、彼が挑戦したのがEzofrogsでした。
“このままでいいのか”が、挑戦のきっかけに。
ーーEzofrogsを知ったきっかけは?
2024年に、学校に貼ってあったポスターで存在を知りました。実は、その時は隣に貼ってあったポスターのプログラムの方に参加したんです。体験会に行った友人から「面白かった」という話を聞いて気になっていたものの、当時の自分はビジネスってどちらかというと文系っぽいものだと思っていました。もともと自分は数学が苦手ではなかったので、なんとなく理系なのかなと思っていて。起業にもそこまで強い関心があったわけではなくて、周りからは「安定した人生を歩んだほうがいい」と言われることも多かったです。だから、魅力は感じつつも、自分のいる環境からは少し遠い世界に見えていました。
ーーそこからEzofrogsの参加に興味を持ったのはなぜだったのでしょうか?
4期生の佐藤 瞭真くん(以下、佐藤くん)と団体の活動を始めたり、EzoLEAPDAYにボランティアとして参加する中で、少しずつ「こういう世界があるんだ」と感じるようになりました。学校の中では、自分なりにうまくやれている感覚もあったのですが、外の世界にはもっと本気で挑戦している人たちがいたんです。急に「このままでいいのかな」と思い始めたのが、参加を考え始めたきっかけでした。
ーー参加を決めるまでに迷いはありましたか?
すごく迷いました。最初から明確なテーマを持っている人が参加するものだと思っていたからです。自分も何者かにはなりたかったけれど、何の分野でそうなりたいのかは決まっていませんでしたし、際立って得意なものがあるわけでもありませんでした。一度はやめようかとも思いました。
ーーそれでも参加しようと決めた理由は何だったのでしょうか?
去年のEzoLEAPDAYで見た景色が大きかったです。参加者が最初と最後で見違えるほど変わっていて、「本当に同じ人なのかな」と思うくらい成長していたんです。そういう変化を目の当たりにして、「自分もこのまま学校の中だけにいたらまずいんじゃないか」と思うようになりました。外の世界に出て、本気で何かに向き合ってみたい。その気持ちが、申し込みの後押しになりました。
ーー最終選考や説明会はどうでしたか?
「今の状態だと選抜されないかもしれない」と言われて、かなり不安になりましたし、衝撃も大きかったです。当時は、自分を否定されたようにも感じました。でも後から東京研修でその真意を聞いて、それは当時の自分が自信なさげに見えていたからだけではなく、「できる自分でいたい」と思って、弱さを見せないように鎧を固めていたからだと分かりました。大湊さんからも「その鎧を脱がないと何も変わらないと思っていた」と言われて、すごく印象に残っています。
ーー最後に一歩踏み出せた理由は何だったと思いますか?
「とりあえずやってみよう」が一番大きかったです。あとは、逆に「選抜されないかもしれない」と言われたことが決め手だったかもしれません。負けず嫌いなところがあるので、そう言われると、やってやろうと思ってしまうんです。
実際に選ばれたときは、うれしいというより驚きが大きくて、心拍数が160くらいまで上がっていました(笑)
人生を賭けたい問いは、自分の中にあった。
ーーEzofrogsではどんな課題解決に取り組みましたか?
最終的に向き合ったのは、社会課題というより、まずは「自分自身の課題」でした。
自分は、いろいろなことに挑戦はするけれど、一つのことに集中し続けるのが苦手で、やらなきゃいけないことが分かっていても続けられない。振り返るとできていなくて、自己嫌悪に落ちてしまうことが多かったんです。
そこで「長期的に挑戦を続けていける状態をどうつくるか」が、自分のテーマになっていきました。
最終的には、やりたいことがあるけれど集中できず困っている人に向けた三日坊主挑戦者向けアプリ「co-mit(コミット)」の開発に取り組みました。
ーーその課題に興味を持った理由は?
最初は、祖母の話をきっかけに、買い物難民の課題に関心を持ちました。地方では、日常の買い物すら大変な人がいる。そうした状況に対して、ドローン配送のような仕組みで何かできないかと考えていたんです。
身近な人の困りごとから始まったテーマだったので、自分の中でも納得感はありました。ただ、進めていく中で、「これは本当に自分が人生を賭けて向き合いたい課題なのか」と考えるようになりました。おばあちゃんを助けたい気持ちはあっても、自分がフルコミットできるテーマなのかという迷いがあったんです。
ーーテーマが変化して、最終的には自分自身の課題に向き合ったんですね。
そうですね。大きな転機になったのは、東京研修で最後にプレゼンの機会があった前日に、佐藤くんに電話をしたことでした。自分の強みって何だろう、と聞いたときに「英語ができること」「団体運営の経験があること」などを挙げてもらったんです。そのときに、自分の中で少し整理された感覚がありました。
受験には参考書がありますよね。でも、「受験そのものをどう乗り越えるか」という部分には、意外と答えがまとまっていない。0から1をつくるときも同じで、手順や考え方を支えてくれる“レシピ”のようなものがあったら助かるんじゃないか、と思ったんです。
グローバル研修でも、いろいろな人に意見をもらいながら進めていたので、その知見が蓄積されていく場所や、レシピを一緒につくってくれる分身のようなAIがあったらいいのでは、と考えるようになりました。
ただ、自分の中では良いと思っていたアイデアも、いろいろな人に意見をもらう中で、「これは失敗だったのかな」と感じることもありました。そんな中で「ヒントは“レシピを作る過程”そのものに隠れているんじゃないか」と言われたことがあって、それも印象に残っています。
また、同じ5期生の内田さんとチームを組もうとしたときには、日記のようなサービスも考えていました。
そこから、自己管理やコミットメントの課題に自然とつながっていったんです。
沖縄のメンターの方に「プロダクトには2種類ある。自分が解決したい課題を解決するものと、誰か一人に絞ってその人を救うものだ」と言われたことも大きかったです。「自分がどうしたら幸せになれるか」を考えて、自分のためのプロダクトを作ろうと思いました。対象者が“自分”だったからこそ、本気で向き合えたし、自分にしかできないテーマだとも思えました。
ーーそこから、今のサービスの形につながっていったんですね。
はい。今はベータ版を作っていて、先日「コミットコミュニティ」も立ち上げました。
Discordで進捗を共有し合う形で、小さく始めています。
最終的にはアプリの中で完結するサービスにしたいと思っていますが、今はその手前で、もっと使いやすい形も考えています。たとえば、少しハードルを下げた“イージー版コミット”のような、習慣化にフォーカスしたサービスです。
一方で、スマホの中だけだと集中しにくい部分もあるので、将来的にはノートブックのような形にも展開できたらと思っています。紙に書くことには、アプリとは違う良さがあるので、そういうアナログな手触りも含めて考えていきたいです。
frogs期間中は無理やり時間を作って進めていたのですが、メンタル的にきつくなってしまった時期もありました。だからこそ、理想だけではなく、無理なく続けられる仕組みとして形にしていきたいと思っています。
挫折の中で初めて、本気で自分と向き合えた。
ーー一番大変だったことは?
一番きつかったのは東京研修でした。インプットはしていたけれど、アウトプットが全然足りていなくて。かなり厳しい言葉ももらいました。中には「正直、君と同じfrogs生と思われたくない」と言われたこともあって、本当に苦しかったです。
いくら頑張ってもプレゼンできず、「ここで消えてしまいたい」と思うくらい追い込まれました。ジムで走り続けて、そのまま寝込んでしまったこともありました。今までの人生で一番きつい挫折だったと思います。どれだけ頑張っても根本的な自分は変わっていない気がして、追いつきたくても追いつけない感覚がずっとありました。理想の姿は見えているのに、自分がそこに届かない。その苦しさが大きかったです。
ーーどうやって立て直しましたか?
大きかったのは、東京研修の最後の日にプレゼンできたことです。「最後には報われることもあるんだ」と思えました。
そのあとも簡単には切り替わらなかったのですが、台湾研修は転機になりました。東京でズタズタになった気持ちを抱えたまま、それでも海外でプレゼンし、街頭インタビューにも挑戦してみた。変わったマインドを実践する場として、すごく大きかったです。
ーー印象に残っているフィードバックや言葉は?
最初の「落ちるよ」もそうですし、「嘘つき」と言われたことも忘れられません。
当時の自分には、自分を取り繕ってしまうところがあって、「やる」と言ったことをやれていないのに、やろうとしている自分でいたかった。だからこそ、その言葉は痛かったです。
一方で最後に「正直、最後まで続けるのは難しいと思っていたけど、一番変わったのは君だと思う」と言われたのは、本当にうれしかったです。
ーーEzofrogsの経験はこれからどう活きそうですか?
自分の中ではかなり大きいです。昔の自分が分からなくなるくらい、考え方が変わりました。
特に、「自分に嘘をつく」「先延ばしする」「言い訳する」といったことは、大人になるほど直しづらいと思うので、それに今のうちに向き合えたのは、人生の中でもすごく大きなことだったと思っています。
今は「本気でこれをやっていいんだ」と思えるようになりましたし、自分に対する信頼も少しずつ持てるようになりました。
自分を知ることで見えてきた「好き」や「苦手」。
ーーEzofrogsを通して、自分の「好きなこと」や「得意なこと」について見えてきたことはありますか?
ありました。
まず、「何かをストイックに続けること」が、自分はけっこう好きなんだと思いました。もちろん、簡単に続けられるタイプではないし、むしろ苦手意識もあるんですけど、それでも続けていくこと自体には惹かれるものがある。続けることで得られるものが好きなんだと思います。
たぶん子どもの頃から、「続けている人はかっこいい」という感覚があったんですよね。コツコツ積み重ねている人や、努力して結果を出している人がかっこいい、みたいな。誰か特定のロールモデルがいたわけではないのですが、そういう価値観の中で育ってきたんだと思います。
実は、小学校の頃に、学校から家庭学習ノートを毎日つけるように言われていたことがあって、周りはあまりやっていなかったんですけど、自分は気づいたら1日8ページくらい書いていました。最終的にはロッカーが埋まるくらい、70冊ほど続けていたと思います。
そうやって、書いたり考えたり、新しいものを探究したりすることは昔から好きでした。何かを始めるときに、たくさん書き出して考えることも好きですし、そういう意味ではクリエイティブな部分も自分の中にあるのかなと思います。
ーー1日8ページは凄いですね!逆に「苦手なこと」も見えてきましたか?
はい。プレゼンが苦手だということに気づきました。
人に何かを伝えること自体が、思っていた以上に得意ではないんだと感じました。
台湾で初めてプレゼンしたときも、自分が本当に伝えたかったことをうまく届けきれなくて、質問されたことがすごく悔しかったんです。
資料や理念については良いと言ってもらえることもあったのですが、「プレゼンが惜しい」と言われることが多くて。自分では考えているつもりでも、それを伝わる形にする難しさを痛感しました。
それまでは、ある意味で井の中の蛙だったんだと思います。自分の中ではできているつもりでも、外に出るとまだまだ足りない部分がたくさんあった。
でも逆に言えば、それに気づけたことで、「じゃあ自分はどこで勝負するのか」「どうすればもっと伝えられるのか」を考えられるようになりました。自分が一番になれる場所を、ちゃんと探していきたいと思うようになったのも、Ezofrogsを通して得た変化の一つです。
ーー世界を見る視点は変わりましたか?
変わったと思います。特に台湾研修で、初めて海外でプレゼンしたことは大きかったです。自分の考えがグローバルでどこまで通用するのかを意識するようになりましたし、同時に、自分はまだまだ井の中の蛙だったんだとも実感しました。
ーー参加を迷っている人にメッセージをお願いします!
Ezofrogsを知って、参加しようか迷っているのであれば、あきらめずに挑戦してみてほしいです。もともと自分も、特別すごい人間だったわけではありません。でも、やってみたからこそ、自分と向き合うことができました。
まず大事なのは、自分が今どんな状況にいるのかを知ることだと思います。夢や打ち込めるもの、大きな負荷がかかる環境に身を置いてみないと、自分にどんな課題があるのか、何を解決したいのかは、なかなか見えてこない。だからこそ、まずは外に出て“大海を知る”ことが大切なんだと思います。
もう一つ大事なのは、「願う」ことです。思うは招く、という言葉があるように、自分が本当に実現したい未来を、できるだけ具体的に思い描くことには意味があると思っています。LEAPDAYに行く時、アドバイザーの前で発表している姿を何度も具体的に思い浮かべていました。そうすると、少しずつ行動がその未来に近づいていって、その未来にふさわしい自分に変わっていける感覚がありました。
「まだテーマが決まっていないから参加できない」と、自分を制限しなくていいと思います。まずやるのか、やらないのかを、自分に問いかけてみる。やらないと決めるならそれでもいい。でも、やると決めたなら、やり切るか、やり切りまくるか。そのくらいの気持ちで向き合えば、きっと見える景色は変わると思います。そこから気づけることが、きっとたくさんあるはずです。